忘れていた感覚が、息をする。

Breath

誰にも届かない深さに、私がいた

    心の奥に、小さな湖がある。

    そこには、自分の本質が映っていて、日々の情報や外の刺激に触れながらも、本当に大切なものだけを受けとめ、静かに調和を保っている。

    この湖には、つながる水脈がある。それは、遠くの山の雪どけや、見知らぬ森の雨音とつながっていて、やさしく流れこみ、静かに澄ませていく。

    水がとどまり続ける沼ではなく、広がるばかりの海でもない。この湖は、めぐりの中にある。
    満ちては、手放し、受けとっては、また流していく。そのたびに、余分なものは流され、澄んだものだけが、ここに残る。

    流れの中には、今の自分にはまだ早いものもある。手に取らずに送り出した何かが、時を越えて、やがて違うかたちで戻ってくることもある。

    流すことと、受けとること。
    どちらもひとつの、めぐりの中だ。

    水がめぐる湖は、自分を映せる鏡。
    この湖を大切にしていると水はしだいに澄んでいき、自分の輪郭がはっきりと見えてくる。その透明さが、自分を信じる力になる。一日一日を過ごすなかで、あるがままの自分に心地よく、かけがえのない風景を見つけていく。そんな時間を、大切にしたい。

    今って、流れる情報が多すぎて、気づけば、自分の声が遠のいてしまう。
    けれど、少しずつ湖の水を整えていけば、「これが、いまの私に必要だったんだ」と、気づける日がくる。

    自分の小さな「やりたい」に目を向けて、それをひとつずつたしかめながら、「自分の流れ」と呼べるものを育てていきたい。

    そして、同じように心の湖を持つ人と、言葉を交わせる場所を育んでいけたらと思う。

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